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世界は美しいんだよ…「卵王子カイルロッドの苦難」冴木忍 

私にとってのライトノベルレーベルと言えば、富士見ファンタジア、角川スニーカー。小学生だった時分、私の身辺では「スレイヤーズ」の神坂一が大流行でしたが、彼と同期受賞者にしてロードムービー冒険譚の名手(だった)冴木忍さんのこのシリーズにも大はまりしていました初連作シリーズにして最高傑作。

「卵王子カイルロッドの苦難」(全九巻/富士見ファンタジア文庫)

城塞都市ルナンの王子カイルロッドは盆栽が趣味の心優しき青年。
そんな彼のあだ名は「卵王子」
彼は何の因果か卵で生まれてしまい、我が子を見た母親がショック死してしまったという珍妙な過去を持つのだ。そのおかげで、見合い相手から逃げられることが王子の最大の悩みなのだが……。
ある日婚約者から逃げられた自棄酒の挙句、街中で飲みつぶれていたカイルロッドが眼を覚ますと、とんでもない事態が起こっていた。

ルナンの町の人々が、皆石化しているではないか…!

一言で言えばカイルロッド青年の成長物語。

彼はルナンの人々を元に戻すため、見習いの魔女ミランシャシニカルな剣士、イルダーナフとともに出立します。
カイルロッド出生の為に彼を付けねらう「神殿」の刺客から逃れながらも旅は続きます。人生は出会いと別れ繰り返し、とは使い古された文句ですがこの作品は本当にそれを強く感じる話でした。

彼が出会い、そして彼を通り過ぎていく面々は実に魅力に溢れ、カラフルです。
呪眼を持つ美女、優しすぎる暗殺者、隻腕の斥候、兄に劣等感を抱く未熟な神官、生きすぎた魔女、愛で息子を縛る狂った母親、「つくられた」存在達、

そして「なんでもできる」男の苦悩。

カイルロッドは彼らと出会うたびに傷つき苦悩しそして少しずつ成長していきます。
その出生からカイルロッドは不当な扱いを受けることもしばしばなのですが、どんな仕打ちを受けても、最後には決して優しさを忘れないカイルロッドが本当に愛おしい。
この世の醜いものを沢山すぎるほど見てきたカイルロッドだからこそ、
彼が「世界で一番美しい名前」をもつ幼子に向かって「世界は美しいんだよ」というシーンで涙が止まらなくなるのです…。

ラストシーンの台詞にも涙。
ああもう、泣かせやがって!
数年に一度読み返しては、初心に戻れるシリーズなので、これからも読み返したいと思います。文章や構成など拙い面はあるにしろ、キャラクターも世界観も魅力に溢れた逸品です。個人的なお気に入りはアクディス・レヴィ。未熟な彼が呪縛や劣等感を乗り越えるシーンは何度読んでも胸が熱く。

そして何より田中久仁彦氏がイラストなのも今思い返すとすごいことだよなあ。表紙イラストがamazonから拾えなかったのが至極残念です。

TB先を探したのですが何分十年以上前の完結作品であるだけになかなかみつからなくて。
ただ、CascadEさん(プロのイラストレーターさん!)の名場面集が原作の雰囲気そのままで感動してしまいました。
すばらしい!(ネタバレ含みます)

現在品切れなのでおそらく図書館以外では読めません。
激しく復刊希望です。

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