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表紙は北海道の空の色かな「将棋の子」大崎善生/講談社 

将棋連盟の広報誌の記者であった著者大崎氏がどのような経緯で日本将棋連盟に就職したか、また、棋士を目指す若者達(奨励会会員)との出会いと別れを描いた作品。

何事も「プロへの道」は過酷だと思いますが、将棋の世界は極めて過酷。その一番の原因は年齢制限でしょう。
奨励会会員は、24歳の誕生日までに四段にならなければプロへの道は永遠に閉ざされます。例えば私(23)が明日突然、その辺の石にけっつまづいて頭を強打した挙句、いきなり羽生さんもびっくりの将棋の才能が芽生えたとしても、プロになる可能性は無いわけですね!。(それ以前に21のときにも越えなければいけない初段の壁があるので、もう私が棋士として活躍する可能性はゼロ、残念ね!←オセロレベル2ですらまける人)

将棋雑誌の記者と言う身近でいながら、あくまで第三者の視点で、プロになるため、何より己との戦いの道に身を投じ、勝ったもの、負けたものを観てきた著者。
著者の視点は次第に「これからも描かれ続ける」勝者たちの記録ではなく、夢破れ去り行く敗者たちの物語へと移行する。
著者と出身を同じくする、棋士成田英二が奨励会を去ってから、……将来を嘱望されながら夢破れ、四十半ばにしていまだその日暮らしを続ける成田と著者の再会を軸に、かつて同じ高みを目指し敗れていった若者達のエピソードが簡潔かつ美しい文章で綴られます。

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そこに描かれる彼らの「奨励会その後」の物語は壮絶ですが、悲壮ではありません。客観的には、けして人生の成功を収めていない成田でさえ、将棋と言う閉鎖的空間に身を投じたことを悔いてはいない。
…それは一心不乱に打ち込める何かを見つけたものだけが得られる幸福感からくるものなのかもしれませんし、著者が言うように「将棋が優しいものである」からなのかも。
愛する将棋の子たちへのラブレターであると同時に、自身の半世紀、そしてまた、人生の新たなスタートを切った著者自身の未来への決意でもあると思いました。

視点が優しくて、好きだなあ。希望にあふれたラスト。

第23回講談社ノンフィクション賞受賞。

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あーこさんから「いい作家さんがいる!」と教えてもらって読んだ大崎氏。氏の小説「アジアムタム・ブルー」「パイロットフィッシュ」もよかったですが、私は「将棋の子」好きです。
大崎さんは昨今珍しく丁寧な文章をお書きになる作家さんですね。
その場のノリで意味の無い、空虚で綺麗で奇抜な文章を書く若い作家さんが増えた中、とても希少だと思います。
綺麗で奇抜な文章を書く人間は、亜流だからよいのであってそれが主流になってしまったら、つまらないな。

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