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冷静な視点で殺人を愉しむ「GOTH リストカット殺人事件」乙一 

何かに殺意を抱くことは誰しもあると思うんですが、殺人という「行為」もしくは殺人者に異常なまでの興味をもって観察する。それを趣味とする人間もいるわけです。
しかし、そんな人間が狂気でなく正常な神経でこの世間に存在したら…それが一番ホラー。異常な行為を犯す人間は例外なく異常でなければならない。
いわば倫理的に「タブー」なそのテーマをさらっと書いてしまう乙一はいいなあ!と思いました。面白い。
読後は殺人鬼の気持ちが理解できたような錯覚を覚えてしまう。

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主人公は「人が殺される」その行為そのものを愛好しているどこにでもいる高校生を「装っている」少年。精神はまったく正常。
彼と同じく殺人事件に異様な興味を示す同級生、森野が周囲で起こるさまざまな異常な殺人事件を「観察していく短編集」です。
謎解きはよりも犯人の動悸に重きが置かれていると思うのでミステリというよりも猟奇系かな。
表題作リストカット殺人事件は、「手首を切り取る連続通り魔」を巡る話。手首に異常なまでに執着を示す犯人と、犯人を利用して欲しいものを手に入れようとする「僕」との静かな心理戦が楽しめます。それは結局うまくいかないんですが、冷静に算段している僕が怖いです。
僕は「森野」の危い美しさに(あるいは儚さ?)に惹かれているんだけど、それは客観的にみたらお互いにとって幸せな結果には繋がらなさそうです。

彼と彼女は「人が命を奪うこと」に関して異常なまでに興味をもっているんだけど、森野が(短編の中でわかる彼女の秘密があるわけですが)「正常な自分を保つために」或いは「自分のアイデンティティ確立」のためにその行為が必要なのとは違い、僕は純粋な「興味」であって、息をするように自然なことなんですよね。理由なんて無い。
最後森野がちょっとだけそのことにに言及するシーン、恐怖しているようにも見えるのですが…でも彼女は決して僕からは逃げられないのだろうなーと思い、それはそれでロマンチックな関係かもしれんなあと思いました。
ギリギリだけど。

続編が出たとしたら森野は死体で登場しそうだ…
ちょっとぐろくてシュールだけどロマンチックな小説でした。
でも隣に「僕」がいたらと思うと…ちょっぴり暗闇が怖いのでした。あとワンコの話はだまされた。

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