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緒形拳一人芝居@「白野」 

筑紫女学院講堂にて公演。

本日観劇、センター最前列でした。
緒形拳一人芝居「白野」
シラノ・ド・ベルジュラックの翻訳劇。

会津藩朱雀隊隊士「白野弁十郎」が思いを寄せる従姉妹、千種に恋の相談をされる所から物語は始まります。
千種の思い人、来栖は美男子だが学のない喋り下手、白野は彼の代わりに恋文をしたためます。

装飾も装置一切無い、簡素な舞台。
舞台の正面に文机。
奥にちゃぶ台、背後にはただ一文字「月」と書かれた白反物。
区切られた空間だからこそ、淡々とした緒形氏の縁起に魅入られました。


白野は優れた男です。

義に熱く勇気に溢れ、戦えば百人力。
詩にも長け、機知にとんだ会話で人を魅了し、隊士からは英雄とあがめられています。
ただその容貌の醜悪さゆえに母に疎まれ、女達には馬鹿にされ、傷つくナイーブな一面も。
しれゆえに唯一優しいまなざしをくれた千種を愛し、心酔しているんですけど。

その愛を打ち明けようとした決心したその朝に、千種から愛の相談をされてしまう…悲劇です。

私なら確実にやさぐれる環境ですが、けれど、シラノはそうしない。自分には所詮女神のように美しい千種と並ぶ資格等無い、夢のまた夢だと痛感して、その恋を胸に秘め、二人の恋の橋渡しを引き受けるのです。

或る、夜。

白野は来栖の身代わりを演じ、千種への想いを切々と(文ではなく)はじめて言葉で語ります。
しかし、おりしも雲が月を隠し、あたりは一寸先も見えない闇夜。
その言葉を来栖からのと信じた千種が一夜の契りを懇願し、来栖は高台にある千種の部屋へと偲びます…ひざまずいた白野を踏み台にして。

白野は自身の醜さに引け目を感じるがゆえに、道化に甘んじます。
来栖の美しい唇で語られる自身の美しい言葉だけでも愛しい人の傍に寄り添う事を幸せにして…。

月明かりを模したスポットに照らされ、二人が愛を語らう中身じろぎもせずに天を仰ぐ白野は神々しくさえありました…。

やがて白野の想いに気づいた来栖は「私が愛されたのはその外見だけ。千種は本当は私の言葉を通して貴方を愛しているんだ」と苦悩します。

恋をするなら報われたいし傷つきたくない、当然です。
異性でも同性でも、叶うなら与えただけ返して欲しい。
相手が幸せになればいい、与えるだけでいい。
その無償の想いを抱ける人間がどれだけいるんだろう。
自分のことを後回しにして、ずっと道化を演じられる人間がどれだけいるんだろう。
最後の瞬間まで決して求めない、そんな想いをいだき「続ける」ことのできる想いを抱ける人間がどれだけいるんだろう。
それはどれだけ辛くて強い思いなんだろう!

と思ったらほんとうに悲しくて切なくて居たたまれなくて感動して
ラスト10分涙がだらだらでした。
白野は決して醜くなんかない。
美しい強い一人の魂を緒形拳という類まれな才能が形作る。
まさに鬼気迫る舞台。
到達することの無い月に行くのがシラノの夢ですが、月とは叶わぬ思い、千種のことだったんだなと。
夜を照らすほのかに暖かな美しい月に憧れる、そんなひそかにひたむきな想いで誰かを愛せたら素敵だと、そう思いました。

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